2020年の東京五輪・パラリンピックの招致活動で、日本側がシンガポールの会社に支払った「コンサルタント料」が、高級腕時計などの購入に使われた可能性が出てきた。五輪招致をめぐる不正行為の疑惑を捜査している仏当局の関係者が、AFP通信の取材に答えた。送金の一部があったのと同じ13年7月に購入されたという。
AFPによると、高級品を買ったのは、シンガポールの「ブラック・タイディングズ」社の経営者と親しいパパマッサタ・ディアク氏。国際オリンピック委員会(IOC)の古参委員で、他の委員にも影響力があったとされる国際陸上競技連盟前会長のラミン・ディアク氏の息子だ。
腕時計などはパリで購入され、13万ユーロ(約1600万円)相当の一部を「ブラック・タイディングズ」が支払ったという。五輪の東京開催決定は、その2カ月後の13年9月のIOC総会だった。またパパマッサタ氏あてに同年、アジアから送金があったとしている。
東京五輪の招致委員会は「ブラック・タイディングズ」を「アジア・中東の情報分析のエキスパートだ」とし、約280万シンガポールドル(約2億3千万円)を支払ったことを認めている。仏検察は、支払いは招致決定前後の7月と10月の2回に分けてなされ、同社の資金で、パリで高額の買い物がなされていた、とも発表していた。
IOCのバッハ会長は18日、電話会見で「東京五輪の招致で不正があったとの指摘は、我々にとっても愉快なことではない」としたうえで、IOC独自の調査の可能性について問われ、「我々が並行してやると、仏当局の捜査を妨げる可能性がある。仏当局に引き続き協力する」と述べた。(パリ=青田秀樹)