米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、金融政策を決める4月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨を公表した。会合では17人の参加者の大半が、雇用や物価の改善が続けば、「(次回)6月会合での利上げが適当になるだろう」との見方を示していた。
FRBは昨年12月に約9年半ぶりの利上げに踏み切った後、4月まで3会合連続で追加利上げを見送った。3月には利上げペースの見通しを「年4回」から「年2回」に引き下げており、市場で「6月利上げ」の観測が急速にしぼんでいた。今回の議事録要旨は、6月利上げを想定していない市場を牽制(けんせい)した形となった。数人の参加者は、市場が6月利上げの可能性を「適切に想定していないかもしれない」と懸念を示していた。要旨の公表後、金利先物市場が予想する6月利上げの確率は前日の15%から34%に急上昇した。
米国経済は今年1~3月期に約2年ぶりの低い伸びとなったが、多くの参加者が減速は「一時的」と指摘。雇用環境についても「雇用の最大化の目標に達したか、それに近い」と言及した。物価上昇率は「年2%」の目標を下回っているものの、原油安やドル高が和らいだことで、中期的に目標に達するとの見方を示した。
会合では、世界経済や金融環境のリスクが和らいだとの見方を示しつつも、いまだ下ぶれリスクが残っているとの懸念も示された。数人の参加者は、6月23日の英国の欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票による影響への懸念を示した。(ワシントン=五十嵐大介)