政府は20日、2016年版の科学技術白書を閣議決定した。00年以降の日本のノーベル賞受賞者16人全員について詳しく分析。受賞につながる業績をあげた時期は45歳以下が大半で、「若手研究者への支援が大事」と指摘した。
米国籍の故南部陽一郎氏を含む医学生理学、物理学、化学3賞の受賞者16人の道のりや背景をアンケートや著作をもとに調べた。受賞につながる業績をあげた年齢は、26~40歳が8人。5歳刻みでみると41~45歳が5人で最も多く、45歳以下で計13人を占めた。
全員が20代から30代に任期付きではない安定したポストに就いていた。地方国立大出身者が多く、留学や海外での研究経験が飛躍のきっかけになる例も目立った。
科学に興味を持つきっかけは、幼い頃の体験が大きな役割を果たしていた。14年に物理学賞を受けた天野浩氏は小学校時代に扇風機のしくみに興味を持ったこと。00年に化学賞を受けた白川英樹氏は、炊飯や風呂の火おこしの時の体験だったという。昨年受賞した大村智氏(医学生理学賞)と梶田隆章氏(物理学賞)のインタビューも掲載した。
このほか、ビッグデータや人工知能などで可能になる35年ごろの「超スマート社会」についても説明。健康データをふまえた献立提案やバーチャルリアリティーによる食材の試食など、近未来の技術を物語形式で紹介している。(竹石涼子)