柏木征夫氏
和歌山県御坊市長選が22日投開票され、現職で無所属の柏木征夫(いくお)氏(75)が、自民党総務会長の二階俊博氏(77)の長男で元秘書の俊樹氏(51)=無所属、自・公推薦=を破り、現役市長では全国最多の7選を果たした。投票率は78・10%(前回58・25%)だった。
柏木氏は同市の事務所前で支援者らに「巨大な力に勇気を持って立ち向かってくれて、今日の結果につながった」と語った。また報道陣には「国会議員の選挙ではないが、途中からそういう様相になった。私は国に逆らった覚えは、これっぽっちもない」と述べた。
元県職員の柏木氏は、御坊市出身の二階氏の支援を受けて1992年から6選を重ねた。しかし今回は俊樹氏の立候補により、「二階王国」が真っ二つに割れる選挙戦に。有権者からは「何とか仲直りを」と政界へのパイプや今後のしこりを懸念する声も聞かれる。
柏木氏陣営は「(俊樹氏側から)圧力がかかるから」と大規模集会を控え、地区ごとの「市政報告会」を積み重ねた。告示日に俊樹氏は選挙事務所前に市外からも動員して1500人を集めたが、柏木氏側は約600人。ただ、柏木氏陣営は「招待状を送っただけでこれだけ集まった」と手応えをみせていた。
俊樹氏は父親の政界人脈も使った国政並みの組織戦で臨み、千人規模の集会を重ねた。告示前後から自民党の稲田朋美政調会長や森山裕農林水産相、小泉進次郎氏、漆原良夫・公明党中央幹事会長ら国会議員が次々と御坊入り。当初は静観していた父の二階氏も告示後は御坊市に詰めてマイクを握るなど精力的に長男を支援した。
落選した俊樹氏は事務所前で支援者らに「私の頑張りが十分でなかったばかりに、皆様の熱い思いを結果に結び付けることができなかったことに心からおわびを申し上げる」と陳謝。父の二階氏は「本人を含めて未熟さが表に現れたのかもしれない」としつつ、「敗軍の将は兵を語らずというが、若い人を中心に力強い支援を頂いた。何ら悔いはない」とあいさつした。(藤井満)