英国の欧州連合(EU)離脱の決定を受け、大手格付け会社2社が27日、英国の国債を相次いで格下げした。離脱で経済成長が鈍って財政悪化につながると判断した。最上級にしていた米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は、21段階のうち「AAA」から「AA」に2段階引き下げた。
S&Pは、離脱決定で英国への投資が減るなどして、経済成長を弱めると指摘。英国の主要産業である金融部門にも悪影響を与えるとした。2016~19年の年間経済成長率を1・1%と、4月時点の2・1%から大幅に引き下げた。
欧米系格付け大手フィッチ・レーティングスもこの日、発行体格付けを、上から2番目の「AAプラス」から「AA」に1段階引き下げた。S&P、フィッチとも、今後の見通しについて、さらなる格下げの可能性がある「ネガティブ(弱含み)」にした。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、格下げはしていないものの、24日には英国債の格付けの見通しを「ネガティブ」とし、上から2番目の「Aa1」から引き下げる可能性を示している。(ロンドン=寺西和男)