英国の欧州連合(EU)離脱への対応を協議するため、ドイツのメルケル首相は27日夜(日本時間28日未明)、フランスのオランド大統領、イタリアのレンツィ首相とベルリンで会談した。メルケル氏は共同会見で3首脳の合意として、英国がEU離脱の通知をしない限り「公式、非公式を問わず交渉には応じない」と明言した。
EU離脱、バラ色のはずが…旗振り役が「公約」を反故
特集:イギリス、EU離脱へ
離脱交渉の手続き開始には英国からの離脱通知が必要とされるが、キャメロン英首相は27日の下院演説で「今はその段階ではない」と発言。交渉は次期首相にゆだねる考えを表明している。
これに対し、メルケル氏は、金融市場の混乱拡大や他のEU加盟国の動揺を抑えるためにも「長期にわたる停滞は望ましくない」と指摘。オランド氏も「時間を無駄にしないことが我々の責務だ」と述べ、できるだけ早く離脱交渉に入るよう英国に強く求めた。
3首脳はEU改革についても議論し、テロ対策や若者の失業問題、経済の活性化などについて9月にも集中して話し合う方針で一致。レンツィ氏は英国の離脱を「EU結束の新たなページを書き加える好機とすべきだ」と述べた。
会談には、EU首脳会議のトゥスク常任議長も参加。3首脳らは合意を踏まえ、28日からベルギーのブリュッセルで始まるEU首脳会議で英国への対応やEUの将来像について、加盟各国と具体的な議論を進める方針だ。
一方、キャメロン氏は27日の下院演説で「(国民投票の)決定は尊重されなければならない」とも述べ、残留派が求める国民投票の再実施を否定した。
内閣は今後、EUとの交渉に備えた諮問組織「EUユニット」を設立する。英PA通信などによると各省庁の官僚らで構成され、EUとの交渉で取り上げられる課題を整理し、新内閣に助言するという。(ベルリン=玉川透)