14日告示の東京都知事選で、自民党は、元総務相で元岩手県知事の増田寛也氏や、前外務事務次官の斎木昭隆氏、立候補を表明した元防衛相の小池百合子衆院議員の3人を軸に調整を進め、週内にも決定する方向となった。前総務事務次官の桜井俊氏に立候補を要請していたが、桜井氏が慎重な姿勢を崩しておらず、擁立は困難な状況となった。
特集:2016東京都知事選
桜井氏は人気アイドルグループ「嵐」の櫻井翔さんの父親。自民都連では「勝てる候補」として擁立論が高まり、石原伸晃都連会長が29日、立候補を要請した。しかし、都連幹部によると、桜井氏は出馬に慎重な姿勢を崩していない。知事選の告示が迫るなか、自民は、準備期間も考慮すれば桜井氏の翻意は難しいと判断。別の候補擁立に向けて調整に入った。
自民はこれまで、猪瀬直樹、舛添要一の両知事が政治とカネの問題に絡んで辞職したことから、追及される可能性が低い「国会議員以外」を前提に候補者選定を進めてきた。「2020年の東京五輪・パラリンピックがあるから、スパッと仕事をさばける実務家」(都連幹部)との条件にもかなう人材として、行政経験が豊富な増田、斎木両氏が有力視されている。
一方、小池氏との調整も焦点になる。都連内には事前の相談なく立候補を表明した小池氏への反発があるが、都連幹事長代行の萩生田光一官房副長官は30日の会見で「豊富な政治経験をお持ちで、有力な候補の一人としての対応を考えていくことになるんじゃないか」と言及。党内の一部からは推す声も出ている。
自民は、「分裂選挙」を避けるため、候補者を1人に絞り込みたい考えだ。小池氏も30日、都内で記者団から都連と協議する予定があるか問われ、「ぜひ(話し合いを)持ちたい」と語った。