ロンドンのトラファルガー広場でEUからの離脱が決まった国民投票のやり直しを訴える若者たち=28日、高久潤撮影
国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた英国で、国民投票の再実施を求める動きがくすぶり続けている。キャメロン首相は「結果を受け入れる」と否定したが、後任の首相次第との見方もある。国民投票で示された民意を「上書き」できるのか。
イギリス、EU離脱へ
「やり直し」を求める動きは離脱の結果が出た24日から始まった。英議会のサイトで、投票のやり直しを求めた請願への署名は30日時点で約400万件を超えた。ただ、英世論調査「YouGov」が27、28の両日に実施したオンラインでの世論調査によると、投票やり直しの支持は31%で、反対58%と反対が大勢だ。
残留支持の傾向が強いのは若者たちのようだ。「YouGov」の投票行動の調査によると、18~24歳の75%が残留に投票。年代が上がるに連れて離脱支持の割合が増え、年長者の選択への不満を募らせている。
背景には離脱派の「公約破り」がある。離脱派は投票前に離脱すればEUへの負担金が浮き、国民保健サービスにあてると訴えた。だが、今では「言っていない」などと否定している。
キャメロン首相は27日、2回目の投票はすべきでないとの見解を示した。ただ、実際のEU側との交渉は与党・保守党の党首選で9月に選出される次期党首が、新首相として担う。
30日に出そろった保守党の党首選の候補者のうち、メイ内相は「2度目の国民投票はない」と断言。クラブ雇用年金相も否定的な立場を明らかにした。