米国務省は6月30日、世界の人身売買をめぐる2015年版の報告書を公表した。北朝鮮が外貨獲得のために労働者を海外に派遣していることを「政府による人身売買」と批判。最低ランクの評価とし、派遣の中止を勧告した。
報告書は世界188カ国・地域を対象に、人身売買や強制労働などの実態を調べ、4段階にランク付けしている。
報告書によると、北朝鮮は中国やロシアのほか、中東やアフリカなどの国々と契約を結んで労働者を派遣。最長3年の契約で、劣悪な環境下で安い賃金で働かされる。1日20時間の労働を強いられるケースもあるという。こうして得た資金が核・ミサイル開発に使われている可能性があり、制裁対象とすることが検討されている。
また報告書は日本について、低賃金や酷使が横行している「外国人技能実習制度」の一部で強制労働の状況があると指摘。昨年に引き続き、上から2番目の評価となった。(ワシントン=峯村健司)