バングラデシュの首都ダッカで日本人7人を含む人質20人が犠牲になった立てこもり事件で、バングラデシュの警察当局は5日、実行犯として5人の訴追手続きを始めた。また、ロイター通信によると、当局はさらにイスラム過激派「バングラデシュ・ムジャヒディン集団」(JMB)のメンバー6人を、襲撃を計画した可能性があるとして追っている。
特集:ダッカ襲撃事件
地元報道や朝日新聞の取材によると、訴追されたのは、ロハン・イムティヤズ(20)、サメフ・ムバシール(18)、ニブラス・イスラム(22)、カイラル・イスラム・パエル(20)、シャフィクル・イスラム・ウザル(25)の各容疑者。
ロハン、サメフ、ニブラスの各容疑者はダッカの豊かな家庭に育ち、同じ私立高校を出ている。また、カイラル・イスラム容疑者は北部ボグラのイスラム宗教学校を卒業し、シャフィクル・イスラム容疑者もボグラ出身でダッカ近郊の幼稚園の元教員だという。
この事件で治安当局は当初、「犯人6人を射殺」と発表し、うち5人の遺体の写真を公表した。6人目の写真を公表しない理由についてカーン内相は5日、朝日新聞に「作戦司令官に聞かないと分からない」と明言を避けた。
だが、警察幹部はロイター通信に「6人目は人質のレストラン店員で、事件に関与していない可能性がある」と述べ、誤射だった可能性を示した。
また、捜査幹部はJMBのメンバー6人を追っていることに関して、ロイター通信に「だれが黒幕かはまだ分かっていないが、実行犯5人は襲撃を命じられたと見ている」と述べた。JMBは1998年に結成され、2005年に国内約300カ所で同時爆発テロ事件を起こし、非合法化されている。
一方、この事件では過激派組織「イスラム国」(IS)バングラデシュを名乗る組織が犯行声明を出している。カーン内相も朝日新聞の取材に対し、実行犯らがISと接触したり、感化されたりした可能性があるとの見方を示している。(ダッカ=貫洞欣寛)