演劇「1万人のゴールド・シアター2016」の稽古初日。参加者は演出家ノゾエ征爾さんの指示で体を動かした=さいたま市中央区の彩の国さいたま芸術劇場
5月に亡くなった演出家の蜷川幸雄さんが企画した演劇「1万人のゴールド・シアター2016」の稽古が6日、さいたま市中央区の彩の国さいたま芸術劇場で始まった。応募した60歳以上の一般参加者の一部、計214人が午前と午後の稽古に参加。演出家ノゾエ征爾さんの指示で、体を動かしたり、用意されたセリフを読み上げたりした。
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公演は埼玉県と彩の国さいたま芸術劇場が主催。60歳以上の1928人による大群集劇を、12月にさいたまスーパーアリーナで上演する。企画は継続し、2020年に1万人規模の公演を目指すという。今回の公演のテーマは老人の夢で、脚本もノゾエさんが担当する。生前の蜷川さんから笑顔で「楽しみにしているよ」と脚本を任されたというノゾエさんは「あの笑顔にちょっとでもこたえられるような作品にしたい」と話した。
インターネットで知って応募したという会社員の太原文華(ぶんか)さん(63)は米国カリフォルニア州からの参加。「周りから励まされ、連帯意識があって、仕事では味わえない喜びがある。こんな規模での公演はほかにない。60歳以上の人々が、自分たちで何かをつくろうというビジョンがすごくいい」と話した。(星賀亨弘)