10日投開票の参院選は、選挙戦の最終盤を迎えている。安倍晋三首相(自民党総裁)は7日、福島県を遊説。接戦の1人区を重点的に回り、単独過半数も視野に勢いを加速させようとする。共闘する民進党の岡田克也代表と共産党の志位和夫委員長は、憲法改正に前向きな自民、公明、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党を合わせた「改憲4党」が、憲法改正の国会発議に必要な3分の2議席を獲得するのを阻止する姿勢を前面に出す。
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「日本を取り戻す。福島の復興をやり遂げる。この思いで政権についた。皆さんの力を結集してほしい」。首相は7日午後、福島県喜多方市の街頭演説で訴えた。自民党は福島選挙区で、民進現職と閣僚の自民現職が激しく競り合っていると分析する。首相は9日に半日間入る予定を前倒しし、「勝ちに行くため」(首相周辺)、7日に一日かけて同県内を回った。
6月初めにスタートした参院選の応援で、首相が福島に入るのは3回目。長野、青森、新潟もそれぞれ3回訪れている。これらはすべて接戦が伝えられる1人区だ。報道各社の情勢調査で自民の単独過半数も視野に入るなか、接戦区へのテコ入れに重点を置く。
一方、民進の岡田代表は7日、名古屋市での街頭演説で「憲法が変えられ、海外で武力行使できる国になろうとしている。安倍首相はなぜ選挙戦で急に口をつぐむのか」と訴えた。「3分の2を取れば『国民の理解は得られた』と言って必ず(憲法改正を)やってくる。この危機感を共有してほしい」とも語った。
岡田氏は、国会で憲法改正の発議が可能となる「3分の2」阻止に向け、代表としての進退をかける1人区の三重や、兵庫、神奈川、愛知など与党と競り合う複数区を回って切り崩しを狙う。
共産の志位委員長は7日、東京都内の街頭演説で「自民への1票は憲法9条を壊す1票になる」と主張。報道各社の情勢調査で改憲4党が3分の2議席に迫る勢いであることについて、記者団に「まだ情勢は変えられる。3分の2を許さない」と強調した。志位氏は、最終盤に比例票の上積みも狙って、千葉、埼玉、神奈川など人口の多い複数区で訴える。