6月以降、円高と株安傾向が続いている
8日の東京金融市場では、同日夜発表の米雇用統計をにらんで投資家がリスクを避ける姿勢を強めた。円相場は一時、1ドル=100円突破目前まで円高が進み、日経平均株価は2週間ぶりの安値をつけた。安全資産とされる国債は買われ、長期金利は過去最低を2日ぶりに更新した。
財務省と金融庁、日本銀行は8日午前、市場の動向などについて情報交換する会合を開き、連携して対応することを確認。財務省の浅川雅嗣財務官は会合後、「投機的な動きがあれば、必要な対応をきちっとしたい」と記者団に述べ、急激な円高を牽制(けんせい)した。
ただ午後に入って円相場は急速に円高に振れ、午後1時過ぎに100円20銭台をつけた。10日に参院選の投開票を控え、「選挙直前の為替介入は難しいとみた投機筋が円買いを仕掛けた」(三井住友銀行の宇野大介氏)という。午後5時時点は、前日同時刻より42銭円高ドル安の1ドル=100円60~62銭だった。
円高を受けて株価も下落。日経平均は4日連続で値下がりし、前日終値より169円26銭(1・11%)安い1万5106円98銭で取引を終えた。英国の欧州連合(EU)離脱決定で1万5000円を割った6月24日以来の安値となった。
一方、長期金利の指標となる満期10年の新発国債の流通利回りは低下(価格は上昇)。一時、前日終値より0・025%幅低いマイナス0・300%をつけ、過去最低を更新した。満期2年の新発国債も一時マイナス0・365%と過去最低を塗り替えた。
この日の金融市場では、米雇用統計の結果を見極めようと積極的な取引を手控える投資家も目立った。先月の発表では就業者数の伸びが急減し、発表後に1日で約2円も円高が進むなど、市場への影響も大きかった。このため、この日も「結果が良くない場合に備えてリスク回避の動きが出た」(大和証券の亀岡裕次氏)という。(藤田知也、神山純一)