「夢の街創造委員会」の株価の推移
宅配注文サイト「出前館」を運営する「夢の街創造委員会」(大阪市中央区、ジャスダック上場)の株価を不正に操作したとして、証券取引等監視委員会は14日、創業者の花蜜伸行元社長(46)ら3人を金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で東京地検特捜部に刑事告発し、発表した。特捜部は15日にも花蜜元社長を在宅起訴するとみられる。
ほかに告発されたのは、花蜜元社長の知人女性(45)と、証券会社の男性担当者(47)。花蜜元社長は1999年に同社を創業。インターネット上で食事を宅配できる店を探し、注文できる「出前館」のサービスを始めた。いったん経営から退いたが、2013年に顧問に就任していた。
監視委によると、花蜜元社長と知人女性は13年7月と同12月~14年1月、高値で大量の買い注文を出すなどして、相場をつり上げた疑いがある。14年4~5月には、証券会社の担当者と共謀し、大量の買い注文を出して株価を高値で固定した疑いもあるという。
多くは、花蜜元社長が証券会社に保証金を支払い、株の購入資金を借りる方法で取引をしていた。購入した株が値下がりした場合、証券会社に追加の保証金を支払うことになっていた。
花蜜元社長はこれまでの朝日新聞の取材に対し、「売り抜けるつもりはなかった。値下がりするのが悔しかった。値下がりすると追加の保証金を支払う必要が生じることもあり、大量に買い注文を出した」と話した。総額約30億円をかけて株を買い集めたが、14年6月4日に前日の終値の1020円から750円に急落。多額の債務を負うことになったという。
出前館は、会員登録をすると、地域ごとに宅配可能な店舗を検索したり、注文したりできる。ピザやすしなどのチェーンをはじめ、全国に約1万3千の加盟店舗があり、注文に応じた手数料などの収入が「夢の街創造委員会」に入る。15年8月期決算の同社の売上高は約36億円。