干し肉や小魚でたんぱく質、ドライフルーツで糖分を補給する=13日午前、沖縄・与那国島、吉本美奈子撮影
■3万年前の航海再現プロジェクト
特集:3万年前の航海、再現プロジェクト
タイムライン:3万年前の航海 再現プロジェクト
国立科学博物館などのチームによる、3万年前に人類が沖縄に渡ってきた航海の再現実験は、強風のため出航が15日以降に延期された。出航地の沖縄県与那国島では、草舟のこぎ手らが集まり、舟に載せる食料と水の準備などをした。
食料などは、こぎ手1人ずつ麻袋に入れてある。袋には、1人10リットルの水やドライフルーツ、アーモンドなどのナッツ類、煮干し、干し肉などが入っている。
チームの中で積み込む食料の検討をした海洋民族学者の後藤明・南山大教授(61)は「3万年前、東南アジアや与那国島あたりでは魚を取り、干すなどして食べていたと考えられる。食料の完全な復元はできないが、当時ありえた物を選んだ」と話す。
30時間以上かかる厳しい航海のため、魚肉ソーセージやコンデンスミルクなど、現代人が食べ慣れていて体力を保てるものも加えた。ゆでたそうめんも小分けにして持参するという。水を入れる容器は当時のものを検討したがわからず、ペットボトル入りにした。
シーカヤック航海者で今回の航海実験の伴走船に乗る内田正洋さん(60)は「交代で休憩をとるが、ずっとこぎ続ける。ものすごく体力を使う。食べながら動きやすいものを持っていく」と説明している。(神田明美)