内側が大きく崩落した住吉池の南側の堤=高松市の女木島
古くから香川県内の農業を支えてきたため池に時代の波が押し寄せている。多くのため池が江戸時代に造られており老朽化が進む一方、農家の高齢化や担い手不足で使われなくなり、管理する人もいないため池が出てきた。「ため池王国」といわれる香川だけに、対策が必要な池は多い。
高松市・女木島の住吉池で堤が損傷し、池の水が流れ出したのは6月23日午前7時半ごろのことだった。
池は、港から歩いて15分ほどの高台にあり、下には民家や畑が広がっていた。池から流れ出た泥水は畑を浸し、家々の間を抜けて海岸まで達した。池に近い畑や道路には石が転がり、農作物は泥をかぶり、水の勢いでなぎ倒された。住民によると、高さ20センチほどの泥水が集落の狭い道を流れ抜け、「まるで川のようだった」という。
午前8時すぎには、池が決壊する恐れがあるとして、市が付近の72世帯111人に避難勧告を出した。人的被害こそなかったが、家屋の床下浸水は60軒。流れ込んだ泥水をスコップでかきだしていた男性は「朝から大変。明日も雨が降ると思うと、やってられない」と話していた。
市によると、住吉池は明治から大正初期に造られたため池で、貯水量は2万7千立方メートル。いまは下流域に水田はなく、池を管理している人もいないとみられている。夜半に降った雨の影響で池の水位が急激に上昇し、弱くなっていた堤が耐えきれなくなったらしい。
池の共同所有者の男性によると…