片山善博・慶応大教授
■都知事の資質とは 慶応大教授の片山善博さん(64)が語る
特集:2016都知事選
選挙は、候補者の見識と共感力、体力を見極める作業です。過去2回の知事選では、そうした候補者の品質管理ができていなかったのでしょう。
猪瀬直樹さんは、石原慎太郎さんに「次は君だ」と後継指名されたかどうかはともかく、急きょ出馬することになった。舛添要一さんは参院議員を辞めてフリーになっていたら、猪瀬さんが自滅した。2人とも知事になる準備ができていたのか。本来なら候補擁立の中心となり、候補者の品質管理に責任を持つべき政党も、彼らの一時的な人気に乗っかっただけでした。
石原さんや舛添さんは、国政で何かを成し遂げようとして挫折し、その代わりとなる日の当たるポジションを選んだように感じます。「都政のためにこれをやりたい」ということが本当にあったのかどうか。
マスコミも、都の経済規模が主要国のGDP(国内総生産)に匹敵するとか、都の財政が国家規模だとかおだてすぎです。有権者も都知事の力に期待をしすぎています。東京都が地方自治制度のなかで特別だとすれば、都制度が適用される唯一の自治体として、本来は市が所管する上下水道や消防業務なども23区内で担っている点です。つまり都は、県よりも地元の仕事が多い。海外に行ってパレードでオープンカーに乗り、無邪気にはしゃいでいる余裕はないはずです。
舛添さんは「世界一の福祉都市…