石原伸晃経済財政相は2日、2016年度の経済財政白書を発表した。個人消費と企業の設備投資は力強さを欠くとし、政権が描く経済の好循環は十分に起きていないと指摘。働く人の待遇改善や規制緩和など構造改革が必要だとした。
白書は、大規模な金融緩和と財政出動などからなる「アベノミクス」の恩恵が広く行き渡っているかを主に検証。企業収益が拡大し、雇用の増加や一定程度の所得改善につながっているものの、個人消費や設備投資の増加には「十分につながっていない」とした。
消費は、特に39歳以下の子育て世帯と60歳代前半の無職世帯が弱く、非正規社員の割合の高さや定年退職による所得減少が背景にあると分析。8%への消費税増税に加え、家電エコポイント制度やエコカー補助金制度など過去に行った景気対策の反動で、家電や車の需要が減っている可能性もあるという。
企業が増えた収益を設備投資と従業員の賃金に十分回していない理由は「国内の需要の伸び悩みに加え、企業の成長予想が低い」ことが考えられるとした。
その上で、正規と非正規労働者の待遇格差を改善し、若者の将来不安を解消したり、定年後様々な働き方ができるようにして高齢者の収入を増やしたりすることが重要であると指摘。企業の設備投資意欲を高めるためには、政府が規制改革など成長戦略を推進する必要があるとした。