山口県上関町で中国電力が建設を目指す原子力発電所をめぐり、県は3日、中国電が申請していた建設予定地となる海を埋め立てる工事の免許延長を許可した。東日本大震災による原発事故を受けて事実上止まっていた建設計画が再始動することになる。
上関原発
一方、県は同日、中国電に対し、国が審査中の原発本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋め立て工事に入らないよう求める要請書も交付した。
計画は、敷地約33万平方メートルのうち、海面約14万平方メートルを埋め立てるもの。中国電は2008年10月、山口県知事から埋め立て許可を得て準備工事に着手したが、反対派の活動や11年3月の東日本大震災による原発事故で中断した。
中国電は免許の有効期限となる12年10月以降、15年5月、今年6月と3度にわたって免許延長を申請。県は「国のエネルギー政策上の上関原発の位置づけが変わらないと言えるだけの説明が尽くされていない」として、補足説明の提出を中国電に求めてきた。
県によると、6月に中国電から県に届いた回答では「上関原発に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていない」との国の見解が記されていた。県は、国の政策上の位置づけが当初、許可した時と変わらないことを示す具体的な根拠と判断し、延長を認めることにしたという。
この日県庁で弘中勝久副知事から許可書と要請書を受け取った中国電の迫谷章副社長は「誠にありがとうございます。現時点で本体工事の着工が見通せないのは事実。重たく受け止め、しっかり検討させていただきたい」と話した。