カメラ各社の業績に、熊本地震の影響が広がっている。ニコンは4日、部品調達先の被災によりデジタルカメラの生産が滞った影響で、2017年3月期の営業利益が70億円悪化するとの見通しを示した。部品の供給はすでに再開し、各社は生産を増やすなどの対応をとっているが、影響は年内まで残りそうだ。
特集:熊本地震
ニコンはソニー子会社の工場が被災し、画像センサーの調達に影響が出た。現在は利益率の高い一眼レフの生産を優先しており、コンパクト型を中心に「年末商戦も影響が残る」(岡昌志副社長)とみる。今後は経費削減を進めることで、全体の営業利益は460億円、純利益は300億円のまま据え置いた。
ソニー自体もデジカメの生産に影響が出た。デジカメを中心とした部門の営業利益が通期で260億円減る見通し。最大手のキヤノンもコンパクト型の部品の調達が滞ったが、影響額は明らかにしていない。主力の一眼レフは部品の調達ルートが異なり、影響は出ていないという。
オリンパスは、今秋に予定していたミラーレスカメラの発売が数カ月遅れ、通期の営業利益が40億円減る見通しだ。円高の影響を含めて通期の業績予想を見直し、5月時点で650億円としていた純利益を570億円に引き下げた。
カシオ計算機もソニーの被災の影響を受けた。影響額は公表していないが、夏以降に生産を増やし、「年間の販売台数の計画は変えない」(広報)という。