空調機器大手のダイキン工業(大阪市北区)が大阪国税局の税務調査を受け、2015年3月期までの2年間で約7億4千万円の申告漏れを指摘されたことがわかった。このうち約1億2千万円は所得隠しと認定された。重加算税を含む追徴税額は約3億円で、納付したという。
関係者によると、所得隠しとされたのは、ダイキン工業が空調部門とともに重点を置く化学部門の海外取引の一部。大阪国税局は、同社が国内外の拠点で樹脂やゴムなどのフッ素化合物を製造する際、原材料を海外の子会社から市場価格より高く購入したと認定。所得を圧縮し、子会社に利益を移す目的があったとして仮装・隠蔽(いんぺい)行為とみなし、購入費用は経費ではなく子会社への寄付金に当たると判断した模様だ。
このほか、社内で使うコンピューターのソフトウェア導入費について、課税対象となる無形の固定資産にあたるのに経費計上した経理ミスもあったという。
ダイキン工業は「原材料の取引は適正な価格で行われたと認識しており、見解の相違はあるが、指摘に従った」としている。
有価証券報告書などによると、同社は145カ国・地域で事業展開し、空調事業の売上高は世界1位。16年3月期の連結売上高は約2兆436億円、経常利益は約2095億円。(岡野翔)