ハンティング用の標的としておりの中で飼育されているライオン=南アフリカ・ベラベラ近郊、三浦英之撮影
絶滅の危険性が指摘されるライオンを飼育して、スポーツハンティングの獲物にすることは許されるのか――。南アフリカで、その是非が論争となっている。業者側は「ハンティングはアフリカの文化」と主張するが、自然保護団体は「娯楽のために動物の命を奪うな」と批判する。
南ア北部ベラベラ近郊。敷地面積約6千ヘクタールの広大な私有地の一角に、電気柵に囲まれた巨大なおりがあった。飼育されているのはハンティング用のライオンだ。その数、約220頭。生まれた子は生後4カ月で親から引き離される。繁殖に向かなくなったライオンは約500キロ離れた別の私有地に送られ、ハンティングの獲物にされる。
南アでは国立公園でのハンティングは原則禁止だが、私有地では認められている。客はガイドを雇い、銃やボーガンでハンティングに臨む。
匿名を条件に取材に応じた業者(51)のパンフレットには、仕留める動物ごとに料金が設定されていた。シマウマ(約13万円)、キリン(約40万円)に比べ、ライオンは高額だ。メスで約80万円、オスだと約200万~約550万円。
牧場を経営していたが、20年ほど前にハンティング用に変えた。電気柵で囲った私有地にキリンやシマウマ、カバやワニなど約4万頭がいる。3年前にライオンを加えたら客が増えた。
今では国内外から年約150人の愛好家が訪れるという。ほとんどが外国客だ。外国客のうち6割が米国、3割が欧州各国、1割が中国からだという。
業者は「ハンティングはアフリ…