日本銀行は8日、7月28~29日の金融政策決定会合で出た政策委員の「主な意見」を公表した。この会合では、上場投資信託(ETF)の買い入れ額をほぼ倍増させる追加緩和を決めたが、「過大だ」などとして懸念する声も出ていた。
ETFを買い増す追加緩和は賛成7反対2の賛成多数で決まった。多くの委員は「海外発の不確実性が企業・家計の心理悪化に波及することは何としても防がなければならない」「民間経済主体の前向きな経済活動をサポートすることが適当だ」として、英国の欧州連合(EU)離脱で世界経済の不確実性が高まったことで追加緩和が必要と主張した。「円高による物価の下ぶれリスク」を追加緩和の理由に挙げる委員もいた。
だが、倍増させると年間6兆円にも上る巨額の買い入れとなり「市場の価格形成をゆがめ(金融緩和をやめる際の)出口の難度を高める」との反対意見もあった。「追加緩和が必要な経済環境でない」「政策の逐次投入とみられ、際限ない催促相場に陥るリスクがある」とする声も出ていた。
政府が打ち出す経済対策は「成長率と物価上昇率をかなり押し上げる」などと複数の委員が評価した。同じタイミングで追加緩和を決めることに「政府・日銀が一丸となって取り組む姿勢を前面に打ち出せる」との主張もあった。(藤田知也)