政府は5日の経済財政諮問会議で、経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)の原案を公表した。新たな財政再建目標は、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)をこれまでの目標より5年遅い2025年度に黒字化すると明記。人手不足に対応するために新たな在留資格を設け、外国人労働者の受け入れも拡大する。今月中旬に閣議決定する。
PBの黒字化は、社会保障などの政策経費を新たな借金なしで賄えることを示す。目標時期を24年度とする案もあったが、19年10月の消費増税や東京五輪後に予想される景気の落ち込みに備え、財政出動の余地を残した。達成に向けた財政再建計画では、19年度からの3年間、社会保障費の伸びを抑える目安の数値は盛り込まず、「高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」という表現にとどめた。25年度までの中間年の21年度には、国内総生産(GDP)に対するPB赤字や債務残高、財政赤字の割合を「中間指標」とし、計画の進み具合を確かめる。
新たな在留資格は、最長5年の「技能実習」を終えた人や、一定の語学力や技能を持った人が対象で、最長で5年間滞在できる。農業、介護、建設、宿泊関連、造船といった分野を想定する。家族帯同は基本的には認めないが、期間中に専門性が認められた場合は、在留期間の上限を取り除き、家族帯同を認めることも検討する。
19、20年度の当初予算には消費増税に向けた経済対策を計上し、住宅や自動車の消費を後押しする方針も盛り込んだ。駆け込み需要と反動減をおさえるため、「消費税還元セール」を解禁することも検討する。
このほか、高等教育の授業料の無償化や支援の対象は、年収380万円未満の世帯とすることも明記。幼児教育・保育の無償化策は本格実施の時期を半年前倒しし、19年10月にする。(森田岳穂)