花咲徳栄―大曲工 四回裏大曲工無死、佐渡は左越えに本塁打を放ちガッツポーズ=奥田泰也撮影
(10日、高校野球 花咲徳栄6―1大曲工)
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■大曲工・佐渡敬斗
秋田大会での犠打数4はチーム最多。5試合で安打は1本しかない。「犠打しかできない」と味方にさえからかわれる5番打者が、今夏の公式戦で1点も取られていない注目左腕に、目の覚める一発を放った。
先頭の四回、初球は狙っていた直球。芯で捉えたが、入るとは思わない。「(左翼手の頭を)越えてくれ」。一塁ベースを必死に回り、三塁側アルプス席で爆発した歓声で状況を理解した。「今日のために取っといたんだろ」。ベンチで冷やかされた。
昨春の選抜大会では、直前の冬に手首を骨折した影響で出番なし。夏の甲子園は悔しさを晴らす場になった。本塁打を放った次の打席で中前に安打を打ち、三盗も決めた。二回の守備では痛烈なゴロを体の正面でがっちり受け止めた。
でも、涙は止まらなかった。「打てたのはうれしい。でも、1点は少なすぎた」。何度も口にした。(山田佳毅)
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●阿部監督(大) 5度の無死一塁を得点につなげられず。「走者を出してからの攻撃がいま一つ悪かった。バントで二塁に送る形を作るべきだった」
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●藤井(大) 8回5失点。先発した2年生は「失投が多く、悔いが残る投球。良い舞台を経験させてもらった。来年の夏に向けて生かしたい」。