力投する北海の大西=阪神甲子園球場、林紗記撮影
(12日、高校野球 北海2―1松山聖陵)
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■北海・大西健斗投手
同点の九回。直前の打席で死球を受け、左手甲は腫れ上がっていた。グラブ越しでも捕球する度に痛んだ。だが、「三振をとれば流れが来る」。先頭から直球勝負で3者連続三振。チームを勢いづけ、その裏のサヨナラ劇につなげた。
中学までは外野手。「単純に格好いい。肩に自信もあった」と高校入学後、投手に転じた。だが、昨夏の甲子園は1死もとれずに降板。チームも4―18で大敗した。秋には腰椎(ようつい)の分離症を発症した。投球再開は今年6月ごろ。「去年悔しい結果があったからこそ頑張れた」。投げられない時期も、下半身を筋力トレーニングなどで鍛えた。体重も10キロ増。たくましくなって舞い戻った。
主将、エース、そして4番。すべて背負った雪辱の舞台で1失点完投。「一番弱い代と言われ続けたが、自分自身も成長を示せた」。気迫の123球で、北海の夏22年ぶりの初戦突破に貢献した。(甲斐弘史)
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○平川監督(北) 「大西が辛抱強く投げてくれた。最後は小野が決めてくれると思ってました。22年ぶりの夏の勝利ですから、ただただうれしい」
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○菅野(北) 先取点を奪う適時打など3安打。「長打は打てないのでミートを心がけた。調子はよかったので自信を持って臨んだ」
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○小野(北) 九回にサヨナラ打。「サヨナラ打は記憶がない。たぶん初めて。(大西)健斗ががんばっていたので点を取れてうれしかった」