山田浩二被告
約60日間の取り調べで何があったのか。大阪府寝屋川市の中学1年生の男女が行方不明になり、殺害された事件から13日で1年。殺人罪で起訴された同市出身の除染作業員山田浩二被告(46)=福島県二本松市=は黙秘を貫き、供述調書は一通も作られていない。
「もう1時間調べていれば。心残りや」。府警幹部の言葉に、後悔がにじむ。
「知らない女の子を乗せた。同乗者の男が殴り、死んだので捨てた。脅されて逆らえなかった」。逮捕当日の昨年8月21日夜、府警本部の取調室。捜査関係者によると、中1少女に対する死体遺棄の容疑について、山田被告はこう弁明した。さらに「一緒にいた男の子も車に乗せた」と述べたとされ、初日は取り調べを約1時間で終わらせた。
しかし翌朝、身の上話を聴き始めた取調官に、山田被告は無言で目も合わせない。「生まれは?」「仕事は?」。顔を背け、呼びかけにも反応しなくなった。
黙秘は、憲法で保障された権利だ。だが前日までの様子から、死体遺棄や殺害への関与はじっくり聴けると考えていた府警側にとり、黙秘は想定外だった。
「母親が心配しているぞ」と伝えた時は、表情をゆがめて動揺した様子だった。しかし、2人への殺人容疑で再逮捕された後も、黙秘は変わらなかった。
府警は逮捕後に、機動隊員や刑…