力投する唐津商の谷口=高橋雄大撮影
(13日、高校野球 木更津総合2―0唐津商)
動画もニュースも「バーチャル高校野球」
木更津総合の左腕・早川の29分の20に対し、唐津商・谷口は33分の14。
各打者の初球にストライクを投げた割合だ。
精密機械のように正確な左腕に対し、谷口の苦心ぶりがうかがえる。それでも、失点したのは4安打を集中された二回だけ。敗れたとはいえ、「レベルの高い投手と投げ合えてうれしい」と楽しみにしていた対決で、186センチの長身右腕も持ち味を発揮した。
左足を上げた直後にピクンと伸ばしてから投げるのは、本人によると「三塁方向に蹴ることで球威をつけるため」という。昨冬から取り組み、球速は10キロ近く増して制球力もついた。
走者がいなくてもセットポジションで投げるのは早川と同じ。一定のリズムを刻む左腕に対し、谷口はクイックも交ぜて打者のタイミングを外した。「連打されて悔しい」と赤い目で語った後、「三回以降は粘り強く投げられた。自分らしい投球ができました」。
個性的なフォームでたどり着いた甲子園は「楽しくて最高でした」。だけど、「これからは普通に投げたい。そういう投手になりたいです」とはにかんだ。(編集委員・安藤嘉浩)