ロシアのプーチン大統領は12日、最側近のセルゲイ・イワノフ大統領府長官(63)を交代させる人事を発表した。後任にはアントン・ワイノ副長官(44)が就任した。ワイノ氏は外交官出身。1996年から2001年まで在日本ロシア大使館に勤務し、日本語も話す日本通として知られている。
ワイノ氏は大統領府の儀典担当などを経て、11年12月に政府官房長官に就任。12年5月、プーチン氏が4年ぶりに大統領に復帰した直後に大統領府副長官となった。プーチン氏の引きがあったとみられる。外務省を離れてから対日政策には直接関与していない。政治的な背後関係がないことや若さが評価されて長官に起用されたとの見方が出ており、今後の評価次第でプーチン氏の後継候補の一人と目されることになりそうだ。
イワノフ氏は旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身で、プーチン氏の側近中の側近。大統領府長官退任後は、旧ソ連、自然保護、環境、交通問題担当の大統領特別代表に就任する。国家の最重要問題を協議する安全保障会議のメンバーは引き続き務めるが、事実上の降格で、政権内での影響力は低下するとみられる。
プーチン氏は、イワノフ氏が自ら退任を申し出て、後任にワイノ氏を推薦したと説明。イワノフ氏が大統領府長官に就任した際、4年を任期とするという約束があったといい、すでに8カ月超過していた。(モスクワ=駒木明義)