中京の山田=伊藤進之介撮影
(14日、高校野球 常総学院8―3中京)
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■中京・山田凌平左翼手
打球は自慢のグラブの先を抜けた。八回、左翼での唯一の守備機会。「このグラブでもう少しかっこいい守備を見せたかったな」
グラブが大好きだ。祖母がレザー教室に通っていたから、家にはカバンや財布がたくさんあった。革製品のにおいが好きで、使うほど味が出るのもいい。
小2で買ってもらったグラブが最初の宝物。どんどん手になじんでいくのが楽しかった。中学ではキャッチャーをやっていたからミットのひもがよく切れた。修理しようと、祖母の道具を拝借してひもを通した。すると、締め方一つで感覚が全く違うことに気づく。オーダーメイドのように自分にぴったり合わせられるようになった。
高校では2年から外野手に。レギュラー争いをしていた今年1月、右足首を骨折した。全治4カ月。相棒のグラブに語りかけた。「早く野球やりたいな」。いつでも復帰できるように左手にグラブをはめ、右手でボールを投げ入れた。寝る時も枕の隣に置いた。
復帰後、初めての公式戦の守備がこの日の甲子園。満員のスタンドを見て緊張したけれど、グラブをたたいたら落ち着いた。「こいつのおかげでうまくなったから」。負けは悔しいけど、やりきったと思う。
将来の夢はグラブ職人だ。手を入れた瞬間に「これ!」ってものを作りたい。大好きなグラブに囲まれた生活。想像するだけで、ワクワクする。(岩佐友)