横浜―履正社 二回裏履正社2死一、三塁、山本は左越えに3点本塁打を放つ。捕手徳田、投手石川=高橋雄大撮影
(14日、高校野球 履正社5―1横浜)
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熱気に満ちた甲子園球場にとどろく雷鳴と土砂降りの雨――。履正社と横浜の強豪校対決は、2度の中断に見舞われた。集中することが難しいなか、主導権争いは攻撃中だった履正社に傾いた。
試合前、履正社の岡田監督は横浜の先発を藤平と予想していた。しかし、先発は石川だった。一回、エースの寺島が先取点を奪われた。直後の攻撃は、石川の伸びのある直球の前に3者連続三振。最悪の立ち上がりと言っていい。
だが、一呼吸置くことができた。二回1死二塁、寺島の打席でフルカウントになったときだ。雷鳴が響き、そこから43分間の中断。その間、履正社の選手たちはベンチで打つ球を再確認していた。「石川は直球が多い」と。
再開後、寺島は三振したが、若林将が右前安打でつないで2死一、三塁。8番山本は狙っていた。2ボールからの3球目。「真っすぐが来ると思っていた。過去最高のホームラン」。左翼席に飛び込む逆転の3点本塁打になった。
この回、再び中断となった。横浜の石川は残念そうにベンチに引き揚げた。再開後も制球が定まらない。死球を出し、降板した。一方、寺島は慎重だった立ち上がりと違い、三回以降、思い切りの良い投球が戻っていた。
結局、両チームの得点は一、二回だけだった。「点差が4点差になって横浜はいろんな攻撃がしにくくなったと思う」と岡田監督。天候の変化を味方につけた履正社が強敵を破った。(坂名信行)
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○寺島(履) 「いつもより変化球が多く、直球を速く見せる投球ができた。全国でトップクラスの打線を抑えられて、ステップアップしたと思う」
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○岡田監督(履) 初の夏2勝。「選手たちは、本当によくがんばってくれた。履正社の歴史に新たな1ページを作ってくれた。感謝したい」