萩本欽一さん=山本和生撮影
■連載「笑いにのせて」1、コメディアン・萩本欽一さん
永六輔さんは言葉の達人だったね。初めて会ったのは30、40年くらい前。ラジオ番組に呼んでもらった時、僕の顔を見て「人生ってさ、年を重ねると知り合いができて友達ができて。だけど、もう友達も知り合いもいらないね。付き合うだけの時間もないし。でもね、その中でも知り合いたい、友達になりたいっていうのが出てくるんだよ。欽ちゃん、よく来たね」。
僕ね、このセリフ聞いてしびれちゃって。こんなにすてきな言葉で出会った人いるかなと思ってね。
連載「笑いにのせて」
尺貫法を守る運動とか、天下を揺るがすわけじゃないけど、そうそう気づかないところを突いてくるところが永さんにはあって、ちょうど僕がテレビをやろうとした時、何か違う笑いの時代が来てるなと気づくわけ。僕はプロだからネタを考えて稽古して、「笑わす」ってやってたけど、永さんたちのは「笑ってしまう」なの。それで番組に素人を出そうと思いついて、そのあと僕の視聴率30%番組が全部「笑ってしまう」になった。
たとえば僕が「これはだめだね…