米国の中央銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)は17日、金融政策を決める先月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨を公表した。焦点の追加利上げについて、17人のうち多くの参加者が「さらなる経済指標を待つのが適切」と指摘したが、意見の食い違いも浮き彫りとなった。
FRBは昨年12月、景気が改善しているとして約9年半ぶりの利上げに踏みきり、当初は「年4回」の利上げを想定していた。だが、金融市場の混乱などから、先月まで5会合連続で追加利上げを見送った。
要旨によると、参加者は5月に急減速した雇用の伸びが回復したことや、英国の欧州連合(EU)からの離脱決定後の市場の混乱が落ち着いた点を挙げ、「短期的な先行きの不透明感が減った」として、利上げのハードルが下がっているとの認識を示した。
だが、雇用や物価の改善ぶりなどでは意見が割れた。何人かの参加者は「近いうちの利上げが正当化される」と主張、うち2人は前回会合での利上げを訴えた。一方、他の数人は、物価上昇率が「年2%」の目標に近づく自信が持てるまで利上げを遅らせるべきだとの見方を示した。
7月会合後に発表された7月の雇用統計は大きな伸びをみせたものの、4~6月期の米国経済の成長率は設備投資の低迷などで年率1・2%増にとどまるなど、最近の指標は強弱入り交じっている。イエレン議長は26日に米国の避暑地ジャクソンホールで講演する予定で、利上げ時期などにどう言及するかが注目される。(ワシントン=五十嵐大介)