前線で任務にあたるアサド政権軍の女性狙撃手=ダマスカス郊外ダラヤ、渡辺丘撮影
内戦下のシリアで女性兵士が増えている。イスラム教徒が多いアラブ諸国で女性が戦闘に従事するのは珍しい。2013年から約1千人の女性がアサド政権軍に志願し、その半数近くが前線などに向かった。死者も出ているという。
7月中旬、首都ダマスカス南郊のダラヤにアサド政権軍の許可を得て入った。政権軍による迫撃砲弾の音が鳴り響き、住民が退避し、損壊した建物が並ぶ市街地は、政権軍と反体制派が戦闘を続ける前線だ。
迷彩服に身を包み、廃屋でライフル銃を握る政権軍の女性狙撃手がいた。西部タルトス近郊出身のガザル・サファ兵士(20)。2年前、入隊志願した。4キロの銃は重かったが、筋力トレーニングを重ねて慣れたという。「いつか結婚して子どもも欲しい。早く平和なシリアに戻ってほしい」と語った。
部隊のフサム・ワヌス指揮官(31)によると、政権軍が女性の登用を始めたのは2013年。これまで約1千人が志願し、約400人が前線の任務などに従事。うち6人が死亡した。政権軍幹部によると、女性の登用は兵員不足を補う意味もあるという。(ダラヤ〈シリア〉=渡辺丘)