島で最大のスーパーに入ると、ロシア本土と変わらない豊富な品ぞろえだった。食料不足は過去の話だという=色丹島アナマ、ウラジーミル・ラブリネンコ撮影
「日本との平和条約締結後、ソ連が歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島を引き渡す」と明記した1956年の日ソ共同宣言から60年。北方領土の色丹島では、ロシアによる開発が進んでいる。現地に入った朝日新聞ウラジオストク支局の助手の情報を元に、島の現状と、島民10人の声を伝える。
■病院やスポーツ施設の建設進む
入り江を見渡す丘の上に、新しい3階建ての建物が見えた。昨年7月、色丹島中部のアナマ(穴澗〈あなま〉、ロシア名・クラボザボツク)に開業した総合病院だ。
内科や外科、小児科、産婦人科、歯科がある。これまで島になかったマンモグラフィーなども備える。
飲食店経営のマドンナ・クハラシュビリさん(55)は「これまでは歯の治療でも、船で国後(くなしり)島やサハリンに行く必要があり、不安だった」と完成を喜ぶ。
約7億ルーブル(約11億円)…