風邪に似た症状が出た後に、手足に原因不明のまひを起こす子どもが昨秋に相次いだ問題で、全国調査をしている厚生労働省の研究班は29日、昨年8~12月にまひの症状で95人が入院したとする中間報告を発表した。一部の患者の呼吸器などから、昨秋に流行した「エンテロウイルスD68」が検出されており、研究班は「断定はできないが、このウイルスが関連する可能性がより高まった」としている。
95人のうち約60人が感染性の疑いのある脊髄(せきずい)炎の患者で、研究班が分析したところ、発症時期は昨年9月がピークで、D68の流行時期と一致した。患者の多くは5歳未満で、9割に発熱、8割にせき、2割に消化器の症状があった。発熱から平均4日以内にまひが出て、8割程度はまひが残っているという。研究班のメンバーで国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子室長は、「子どもに突然の熱や呼吸器症状の後に手足が動かしにくくなる症状が出たら、早めに小児科を受診してほしい」と呼びかけている。
エンテロウイルスはポリオや手足口病の原因にもなるウイルスの総称で、100種類以上あり、夏から秋に流行することが多い。D68はその一つで、米国でも2014年に検出された患者の一部にまひが出たことが問題になった。(松本千聖)