東日本大震災の被災者を支援した熊本県に恩返し。岩手県大船渡市から旬のサンマが届き、熊本地震の被災者らに振る舞われた=11日午前11時54分、熊本県南阿蘇村、福岡亜純撮影
東日本大震災から5年半の11日、被災地の岩手県大船渡市から直送した旬のサンマ600匹が、熊本地震で被災した熊本県南阿蘇村に届き、無料で振るまわれた。
大船渡市の民間業者らでつくる「さかなグルメのまち大船渡実行委員会」が、「支援でお世話になった熊本の方々への恩返しに」とPRも兼ねて企画。同市民の復興まちづくりに協力していた特定非営利活動法人イデア九州・アジア(福岡市)の井手修身理事長(53)が故郷の南阿蘇村との間をつなぎ、実行委のメンバー7人が車で20時間かけて運んできた。
青空のもと、南阿蘇村の道の駅「あそ望の郷くぎの」の広場で、実行委のメンバーが炭をおこし、30センチほどのサンマを焼き始めると、すぐに長い列ができて、3時間ほどでなくなった。
隣の大津町から訪れた会社員千葉正憲さん(35)の家族は「地震の後は、1個のおにぎりを家族8人で分けたなあと思い出しました」と言いながら味わった。次女の絆さん(7)は、1800キロの道のりを車で走って持ってきてくれたことを両親から聞いて「おいしい。とってもうれしい。ありがとう」と笑顔を見せた。
実行委のメンバーで大船渡市の渡部豊美さん(46)は東日本大震災で自宅が流され再建した被災者の一人だ。「阿蘇は自然のきれいな所ですね。喜んでくれて、来たかいがありました」と汗をぬぐった。(東野真和)