佐賀県唐津市の坂井俊之市長(55)=3期目=が代表を務める自民党支部が、企業・団体からの寄付を市長の個人後援会に全額寄付していた問題で、佐賀県警は12日、坂井市長を政治資金規正法違反の疑いで書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。
捜査関係者によると、容疑は、市民の告発を昨年受理した2013、14年の政治資金に対するもの。
坂井市長が代表を務める党支部(昨年12月解散)は、両年に企業・団体から受けた寄付の全額計486万円を市長の個人後援会に寄付していた。告発した市民側は、これが実質的な迂回(うかい)献金に当たり、政党や政治資金団体以外への企業・団体献金を禁じた政治資金規正法違反の疑いがあると告発した。また、党支部が14年に木材の協同組合から受けた10万円の寄付も、組合が市から補助金の交付決定通知を受けて1年以内に行われ、同法違反の疑いがあると告発した。
こうした問題について、条例の規定数以上の有権者の署名を受けて審査を始めた市の政治倫理審査会は8月下旬、政治倫理基準違反とする報告書を提出した。坂井市長は今月8日、来年1月の次期市長選には立候補しないと表明したが、「(市政の流れ、課題を踏まえた)総体的な判断だ」と説明し、引責との見方を強く否定した。