送検される繁田敬治容疑者=15日午前8時31分、東大阪市稲葉1丁目、伊藤進之介撮影
大阪府東大阪市の市立総合病院を巡る医療費の詐欺事件で、大阪府警に逮捕された元同病院職員の繁田敬治容疑者(58)=同市稲葉1丁目=が今春、病院から他部署に異動後も、偽の医療費還付手続きを病院の担当職員に繰り返し処理させていたことが市関係者らへの取材でわかった。異動後だけで不正請求額は約1千万円に上るという。
元病院職員、医療費詐取の疑いで逮捕 着服総額1億円か
市関係者によると、繁田容疑者は3月まで病院医事課ナンバー2の総括主幹で、4月に市の美化推進課に異動。しかし異動後もたびたび病院を訪れ、顔見知りの窓口職員に「(病院の)局長の指示だから」などと言って患者に医療費を払い戻す請求書を提出。現金を受け取ったという。その後の市の調査で、いずれも不正の請求と判明した。
病院のシステムには、これら還付金払戻先の患者情報を、病院職員のIDやパスワードで閲覧した履歴が残っていた。職員に閲覧した覚えはないといい、繁田容疑者が勝手にIDなどを使った可能性もあるという。
繁田容疑者は既に死亡した患者名義による虚偽の還付金請求書で、7月に約90万円をだまし取った詐欺容疑で逮捕された。府警は15日午前、繁田容疑者を同容疑で大阪地検に送検した。