マーク・ザッカーバーグCEOに宛てた公開書簡を掲載したアフテンポステン紙の1面=同紙提供
フェイスブック(FB)は、ノルウェーの作家がFBに投稿した1枚の戦争写真を巡り、児童ポルノにあたるとして削除した措置を撤回した。同国首相らによる批判を受けて写真の復旧とシェアを認めた。
写真は1972年、AP通信のカメラマン、ニック・ウト氏が、米軍によるナパーム弾の攻撃から裸でベトナムの国道を走って逃げる様子を写した1枚。「ナパーム弾の少女」などとして知られ、73年には世界報道写真賞やピュリツァー賞を受賞した。
ノルウェーの作家、トム・エーゲラン氏は8月、戦争写真について投稿したが、写真の少女が全裸で写っていることを理由にFBは写真を削除。AFP通信などによると、抗議したエーゲラン氏のアカウントも一時停止され、この措置を批判した人たちによる同じ写真の投稿も全て削除された。その後、同国の日刊紙「アフテンポステン」が1面でFBのマーク・ザッカーバーグCEO宛ての公開書簡を掲載し、戦争写真と児童ポルノを区別しないFBのあり方を批判。同国のエルナ・ソルベルグ首相も、FBに写真を投稿し、FBが「共有された歴史の編集」を行っていると指摘した。
首相の投稿からも写真は削除されたが、FBは「この写真の歴史や国際的な重要性は認識している。シェアを可能とすることの方が重要と考えた」と説明し、写真を復旧させた。(鬼室黎)