中国の国宝を紹介する番組「国家宝蔵(NATIONAL TREASURE)」シーズン3でこのほど、「秦始皇帝陵博物院」の特集が放送された。左足は立膝にし、右足は膝を地面につけた姿勢の跪射武士俑や秦(紀元前778-紀元前206年)の始皇帝の御車の隊列を模した秦陵銅車馬、青銅仙鶴など、大秦帝国の強勇さをイメージさせる国宝が紹介された。また、兵馬俑の写真を撮影する文化財専門のカメラマン・趙震さんにも注目が集まり、ネット上で人気検索ワードランキングにランク入りしている。
秦の時代の兵馬俑や博物館に所蔵されている文化財を撮影して23年になる趙さんは、「僕の世界は、この博物館の中にある。僕が見ているものも、考えていることも、全てが兵馬俑」と話す。 秦の始皇帝を永遠に守るために副葬された兵馬をかたどった陶製の像・兵馬俑は1974年に発見されて以降、考古学的発掘が何度も行われ、現時点で3つの兵馬俑坑が見学できるよう一般公開されている。うち、1号坑は最も早くに発見され、現時点で最大の兵馬俑坑だ。1号坑は東西230メートル、南北62メートルで、陶俑1087体が発見されている。趙さんは最近、陶俑862体の写真を高画質で撮影し、電子化して保存するという大きなプロジェクトを行っている。各陶俑の「証明写真」を撮影して、それぞれの「身分証明書」を作成しているのだ。その「証明写真」は、人の身分証明書と似ており、名前、性別、民族、出身地、住所、身分証明番号などが記載されている。うち、民族は「華夏」、身分証明番号は、陝西省の省コード、西安市臨潼区の区番号、誕生日、文化財の登録番号からなっている。
兵馬俑坑はフラッシュが禁止されているため、ぴったりの光加減になるかは太陽の角度次第。必要な低角度の太陽光が兵馬俑に当たるのを1年待っていることもあるという。「毎年、12月中旬になると、低い角度で太陽の光が兵馬俑坑に入り、その時、全ての兵馬俑が蘇ったように命が吹き込まれる。兵馬俑の写真は他の静的写真と異なり、人の撮影に似ている。カメラを通して、その目を見ると、その息さえ感じる」と趙さん。
ある撮影の過程で、趙さんは、兵俑の唇に指紋があるのを発見した。2200年前に兵馬俑を製作した職人の指紋だ。それを見て、趙さんは心に衝撃が走るような感情を覚え、2200年前の職人と同じ位置に立って、同じ角度から俑を見た気持ちになったという。超えることのできない時間、月日の壁がないというのが、文化財の魅力だ。
毎日、単調にも見える仕事をこなしているが、趙さんは「味気ない」と感じているのだろうか?趙さんの答えは、「NO」で、「世界で一番素晴らしい仕事をしている。全ての写真家が僕のことを羨望の目で見ているだろう」と、心からにじみ出るような喜びの気持ちを語った。(編集KN) 「人民網日本語版」2020年12月18日 |
兵馬俑の写真を撮り続ける写真家 最も美しい自然光を1年待ち続ける
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