スポーツクライミングの世界選手権ボルダリング男子で優勝し、表彰台で喜ぶ楢崎智亜=時事
2020年東京五輪の追加競技になったスポーツクライミングの世界選手権が17日、パリで行われ、ボルダリング男子で20歳の楢崎智亜(ならさきともあ、栃木県連盟)が初優勝を遂げた。世界選手権で日本選手が優勝したのは初めて。堀創(ほりつくる、宮城県連盟)は6位だった。楢崎は16年ワールドカップのランキング1位。東京五輪に向けて弾みのつく快挙となった。
18日はボルダリング女子の決勝を行う。クライミング世界選手権は隔年で開催。次回は18年にオーストリアのインスブルックで開かれる。
■とっさの判断で難関クリア
楢崎がライバルに先行を許して迎えた三つ目の課題は、手前にせり出した壁にぶら下がって体をひねりながら横に移動する難易度の高い技が必要だった。「この課題がキーになると思ったが、登ってみると想像と全然違う」。2度目の挑戦ではとっさの判断で新たな動きを試し、渡り切ると観客から大歓声が湧き起こった。
ボルダリングは四つの課題をいかに少ない回数でクリアするかを競う。「3回以内で登れば優勝」という状況で臨んだ最終課題を楢崎は1回目で危なげなく乗り切り、日本選手で初の世界選手権優勝を決めた。「やってやったぞという気持ち」。喜びを素直に表した。
子どもの頃は器械体操を習い、兄の影響で小5からスポーツクライミングを始めた。プロになった昨年は芽が出ず、今回の優勝で「ようやくプロとしての生活が始まった」と実感を込めた。まだ知名度の低いクライミング。20歳の夢は「子どもがかっこいいと思えるような競技」に育てることだという。(時事)