資材置き場の屋根が飛んで電柱をなぎ倒し、道路が通行止めとなった=20日午前7時20分、宮崎市阿波岐原町、伊藤秀樹撮影
強い台風16号が上陸、通過した九州南部は20日午前、記録的な大雨になった。宮崎県内では地区全体が浸水したり、道路が冠水したりする被害も相次いだ。土砂災害や川のはんらんの危険性が非常に高まっているとして、気象庁は引き続き厳重に警戒するよう呼びかけた。
宮崎県日向市では20日朝までの24時間雨量が578ミリ、同県延岡市も445・5ミリに達し、いずれも観測記録を更新した。同日未明には、鹿児島県枕崎市で1時間に115ミリ、宮崎市でも同110ミリの猛烈な雨が降った。
宮崎県では19日夜から宮崎市や日向市などで約1万8千世帯、約3万8千人に避難指示が出され、20日午前7時現在で約1100世帯、1900人が避難している。床上浸水1棟、床下浸水5棟の住宅被害が出た。
日向市富高地区では地区全体が浸水。日向市消防本部が80代の男女3人を含めた計6人をボートで救助した。延岡市では市内を流れる北川沿いの一部地域が浸水している。日南市では30代女性が、自宅の窓ガラスが石で割れたため足に軽傷を負った。
鹿児島県内では南九州市や鹿屋市で住宅が強風で倒壊するなどし、2人が軽傷を負った。鹿屋市では市内を流れる串良川に架かる橋が損壊したという通報があった。指宿市では強風でトラックが横転する被害が報告されているという。
大分県でも大分市など4市が計約4万3千世帯9万6千人に避難勧告を出し、20日午前7時現在、210世帯345人が公民館などに避難している。大分市内では同日午前5時ごろ、住宅裏の斜面が崩れて土砂が流れ、住宅2棟の1階部分が壊れた。住民は無事だった。熊本県内でも20日朝にかけて県内で約1200人が避難所に避難した。
九州電力によると、20日午前9時現在、鹿児島県を中心に宮崎、熊本、大分、佐賀の各県で計14万6700戸で停電が続いている。