補選の主な立候補予定者の経歴と世襲へのスタンス
鳩山邦夫氏の死去にともなう衆院福岡6区補選の投開票日まで23日で1カ月。自民党本部の公認を争う前福岡県大川市長の鳩山二郎氏(37)と、自民県連が推す蔵内謙氏(35)の両陣営の間で、「世襲」の是非をめぐって論戦となっている。有権者や識者らはどう見ているのか。
鳩山二郎氏は父が元総務相の邦夫氏、祖父が元外相の威一郎氏、曽祖父は元首相の一郎氏だ。一方の蔵内謙氏の父は、自民県連会長で県議の勇夫氏。福岡6区に隣接する福岡7区内の筑後市選出で、当選8回を数える。
「邦夫氏が、世襲はしないと言った」。鳩山二郎氏の出馬表明に対し、蔵内氏を推す自民県連会長代行の中村明彦県議は今月2日の記者会見でこう指摘した。中村氏の説明では、邦夫氏は11年前に東京18区から福岡6区にくら替えした後に、当時の県連幹部に世襲を否定する発言をしたという。
これに対し、鳩山二郎氏は16日の報道各社の取材で「私(邦夫氏)限りと約束をしたという話は聞いていない。一切真実ではない」と真っ向から否定。さらに「政治家は選挙という審判を受けないといけない。政治家だけ世襲を批判されるのはおかしい」と反論した。
鳩山氏と対立する蔵内氏も、父を政治家に持つ点では鳩山氏と変わらない。蔵内氏は自身の立場について「父とは出馬する選挙区が違うので世襲ではない」と主張。勇夫氏は、国政を目指す息子とは「選挙区もステージも違う。世襲批判は当たらない」と強調する。
一方、インドの日本国総領事館元職員の新井富美子氏(49)を擁立した民進党。蓮舫代表は22日、久留米市での街頭演説で「2世3世や派閥の論理。6区の皆さんが本当に見えているのか、私は強い違和感を覚える」と蔵内、鳩山両陣営を批判した。新井氏は「本当に社会に貢献する気持ちでいるなら、あえて反対はしない」との立場だ。
共産党が擁立した党筑後地区委員長の小林解子氏(36)は「本人がどういう志で政策を掲げるかが大事」と話す。6区では、幸福実現党の党県本部総務会長の西原忠弘氏(61)も出馬を表明している。