地震で壊滅的な被害を受けたアマトリーチェ中心部=21日、山尾有紀恵撮影
8月24日未明にイタリア中部をマグニチュード6・2の大地震が襲ってから1カ月。最も被害が大きかったアマトリーチェを再訪すると、地域経済の柱である農業と観光を組み合わせた「アグリツーリズモ」が深刻な打撃を受け、まもなく訪れる冬を前に農家の人たちが頭を悩ませていた。
「あと2カ月もすれば雪が降る。小屋がなければ、寒さに弱い羊は売るしかない」。アマトリーチェ近郊で牧場とレストランを営むナンド・ボナンニさん(63)は話した。
地震で半壊した家族経営のレストランは、牧場でとれた新鮮なミルクで作った自家製のチーズや、手作りのハムをふんだんに使った料理が売り。6、7年前から景気悪化に苦しんできたが、価格をあまり上げずになんとかやってきた。自宅や畜舎も半壊し、今は泥棒が入らないように見張るため、レストランの前にテントを張って暮らす。「政府の支援がなければどうしようもない。この店は私のすべて。なんとか続けたいのだが」
アマトリーチェは、グアンチャ…