横浜市神奈川区の大口病院で、点滴に異物が混入されて入院患者が死亡した事件で、中毒死の原因となった界面活性剤は消毒液に含まれるものだったことが捜査関係者への取材でわかった。点滴は使われる2日前に、施錠された薬剤部からナースステーションに搬入されていたことも判明。神奈川県警は院内の管理状況を詳しく調べている。
捜査関係者によると、界面活性剤にはさまざまなタイプがあるが、死亡した八巻信雄さん(88)の体内と残された点滴袋から検出されたものは、殺菌作用が強く、消毒液に含まれるタイプだった。院内にもこうした消毒液は置かれているという。
同病院では、点滴は医師の指示で薬剤師が用意し、病院1階の薬剤部で保管。投与する患者の名前と日付を書いたラベルが貼られたうえで、各階のナースステーションに運ばれていた。普段は、ステーションに搬入されてから24時間以内に使うのが原則だった。
だが、17~19日は3連休で、17日午前から、3日分の点滴が段ボールに入れた状態で4階のステーションに置かれていた。保管場所に鍵はかけられていなかった。同じ階に入院中の八巻さんに、界面活性剤が検出された点滴が投与されたのは19日午後10時で、3連休の最終日の夜だった。
18日には、この中から点滴を受けた80代の男性2人が死亡しており、県警は司法解剖して死因を詳しく調べている。また、ステーションに残されていた約50個の点滴に混入物がないかも検査することにしている。(飯塚直人、奥田薫子)