米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は24日、大統領選で民主党候補のクリントン前国務長官を支持すると社説で表明した。一方で「例年なら政策ごとに両候補を比較するが、今年は普通の年ではない」と今回の選挙戦の異例さを指摘。共和党候補のトランプ氏を「米国近代史上、最悪の候補」と切り捨てた。
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同紙は、クリントン氏支持の理由について「米国が直面する困難に立ち向かう能力がある」と説明。ファーストレディー、上院議員としての実績のほか、国務長官時代に環太平洋経済連携協定(TPP)やアジア重視政策を促進してきたことを評価した。TPPへの反対に転じたことにも触れ、「選挙戦での態度変更は支持者を混乱させたが、労働者の権利に即した貿易にしようとの基本的主張は疑う余地がない」と擁護した。
一方でトランプ氏については「彼自身や政策について具体的な説明をせず、実現できないことを約束している」と痛烈に批判した。
ただ、同紙は、今回の選挙では「不況の重圧や技術革新、国際競争や戦争などが家族に降りかかってきたことに、政府が無策だと訴える貧困層や中間層の絶望と怒りが表面化している」とも指摘した。(ワシントン=佐藤武嗣)