認可保育所ができる予定だった場所。道路が狭くて危険などとして近隣住民が反対していた=東京都武蔵野市吉祥寺東町1丁目
東京都武蔵野市は29日、来年4月に予定していた認可保育所の開設を断念すると発表した。近隣住民が反対するなかで着工の見込みが立たず、運営事業者が撤退を決めたのが理由。来年度新設予定の認可保育所はこの1件だけで、市の待機児童対策への影響は必至だ。
保育所は同市吉祥寺東町1丁目に開設予定の「ましゅまろ保育園」。運営事業者は埼玉県所沢市に本社のある自動販売機管理会社で、駐車場だった約500平方メートルの敷地に2階建ての施設をつくり、0~5歳の81人を受け入れる計画を6月に市が発表していた。
だが、近隣住民約20人が「道路が狭くて危険な立地だ」「保育事業の経験がない業者では不安だ」として市議会に陳情書を出すなどの反対運動を展開。市は「住民との合意形成を優先してほしい」などとして、事業者が8月末から9月上旬に予定していた着工の延期を求めていた。
事業者側は「すでに保育士も確保しているが、このままでは4月に間に合わないので断念した。市は反対意見ばかりでなく、開設を望む人の声も聞いて着工を決断してほしかった」と話す。
武蔵野市の待機児童数は122…