「陰陽師(おんみょうじ)」を名乗る女性に「長女の幸せな結婚のための先祖供養が必要」などと持ちかけられ、約4千万円を支払わされたとして、女性とその母親を相手取り、福岡県の女性(66)が約4400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、福岡地裁であった。
青木亮裁判長は「不当に高額な代金を受領した」と認め、2人に計約2570万円の支払いを命じた。
判決によると、陰陽師を名乗る女性は2009年、相談に訪れた原告とその長女に、長女の結婚相手として東京在住の42歳の男性を紹介すると話した。
その上で男性について「フェラーリやヘリコプターを所有している裕福な精神科医」と説明し、「六本木ヒルズをベビーカーを押して(長女と)2人で歩いている姿が見える」などと「透視」。さらに「先祖同士が敵同士で相性が悪い」などと言って「先祖供養した方がいい」と勧め、多額の現金を受け取った。
青木裁判長は、男性の名前をインターネットで医師の資格者を検索できるサイトに入力しても見つからないことから、「医師は実在しない」と判断。「医師が実在しないのに虚偽の事実を述べて先祖供養などを勧めた」などとして、陰陽師を名乗る女性とその手伝いをしていた母親の不法行為が成立するとした。(張守男)