国土交通省中部地方整備局が発注した橋の工事の一般競争入札に絡み、便宜を図って落札させる見返りに飲食接待を受けたとして、愛知県警は30日、同局三重河川国道事務所課長の田中春人容疑者(46)=名古屋市瑞穂区=を加重収賄や官製談合防止法違反などの疑いで逮捕し、発表した。
また、接待した側でいずれも瀧上工業(愛知県半田市)社員の加納泰司(52)=東京都目黒区=、浜島伸治(61)=愛知県犬山市=、伴雅彦(41)=同県半田市=の3容疑者を同法違反や贈賄などの疑いで逮捕した。4人とも「間違いない」と容疑を認めているという。
捜査2課によると、田中容疑者は今年7~8月、津市内で橋を架ける工事の一般競争入札で、事前に予定価格や同社の技術評価の点数などを教え、見返りに加納容疑者らから十数回にわたり、名古屋市内のクラブなどで計三十数万円相当の飲食接待を受けた疑いがある。
同社は8月の総合評価落札方式で落札者を決める今回の工事の一般競争入札で9社と競合し、2億4500万円で落札した。総合評価落札方式は業者の技術評価を数値化し、その点数を入札額で割った値で落札者を決める。予定価格は2億7087万円。
田中容疑者は1988年4月に旧建設省の技官として採用。今年4月から同事務所で道路に関する工事の規格や実施を担当する工務第2課長を務め、設計や予定価格の積算調書の作成を担当していた。加納、浜島両容疑者は営業副本部長。田中容疑者と加納容疑者は長年の付き合いだったという。
職員の逮捕を受け、中部地方整備局は「極めて遺憾。捜査に全面的に協力し、厳正かつ適正に対処する」とのコメントを出した。瀧上工業は「事実が確認できていない」と話した。